第38回
ひとSTORY
Ryojiさん(Raspberry Dream、vo.)
日頃は音楽学校で若いミュージシャンの育成に携わりながら、自身もバンドのボーカリストとして活動中。今回は結成13年。福岡発!笑顔を届けるPOPでROCKなバンド、Raspberry Dream(ラズベリードリーム)のボーカルRyojiさんへインタビュー。
音楽との出会い
北九州市八幡西区出身。4歳上の兄と二人兄弟。両親は特別音楽好きだったわけではなく、兄が選んだ曲を一緒に聴いていた。小学校二年の頃、兄が聴いていた曲をいつもより「いいな!」と思ったのがドリカム(DREAMS COME TRUE)の「晴れたらいいね」。そして、たまたま家にあった小さい鍵盤のおもちゃでCMから流れてくるメロディーを片手で弾いて遊ぶこともあった。その頃はサッカーが一番好きで、歌を歌ったり、学校の授業の合唱も好きで、踊るのもめちゃ好きだった。外ではサッカー、屋内ではゲームか音楽という生活。そして、音楽を一番聴いてた場所は父のトラックの中。自営業の父が車で遠方へ行く時手伝いで同行し、その道中、車内で流れる曲に合わせて一緒に歌っていた。「おまえ、歌が上手やないか。」歌手になりたいとは考えなかったが、両親から褒められるのが単純に嬉しかった。
学生時代
中学のクラスで「天使でブソングを」をカバーする際、メインボーカルに抜擢。その後、中三で3人の友達とバンドを組み、当時好きだったロックバンド、ラルクアンシエルのカバーもした。高校進学は、将来の就職を考え、工業高校へ入学。学校では歌好きなヒロシと友達になった。中学まではサッカー部に所属し、高校は帰宅部で、学校帰りにカラオケで、「ゆず」や「19」などの歌を二人でハモるのが楽しくなる。後に二人で、カラオケを使い、「ケミストリー」や「EXILE」のカバーでライブもした。周りの友達からも、対バンした相手からも「いいね!」と高評価。「音楽が好き」という気持ちは日々募っていった。卒業後の進路を考えた時、「音楽したい!」というのは明確だった。ヒロシと一緒に参加した「福岡スクールオブミュージック専門学校」の体験入学は実際楽しく、親に相談すると、「好きな事やっていいよ!」と応援してくれた。「二人で頑張っていこうぜ!」将来を語りながら、晴れて一緒に入学。しかし、しばらくしてそれぞれの幸せに分かれて歩きだした。
Raspberry Dream誕生!
卒業間近の2006年、専門学校で全員同期のくらっち(Gt.)ゆきお(Ba.)Hiroshi(Ds.)安さん(Key.)は中洲のLive Bar「ウィッシュ」の専属バンドとして仕事をしていた。ちょうどボーカルが抜けた時、Ryojiに声がかかる。それまではショーケース(発表会)に出たり、授業で顔を合わせたり、スタジオで一緒に演奏もしたが、学校の中でバンドを組む話は特になかった。仕事は選曲が限定されていたので、「たまにはやりたい事やるようなライブもしたいね。」と特にバンド名もなく、カバー曲だったが、外でライブをすることもあった。時々、お店の演奏終わりに、お客様に席に呼ばれ、お酒をご馳走になることも。ある日、酔っぱらった中年の男性がメンバーにこう言った。「良かったよ、君ら!これからも頑張っていってよ、ラズベリードリーム!」「ラズベリードリーム??」よくわからなかったが、とりあえず「はい!」と答えておいた。(ちなみに1986年に発売されたレベッカのヒット曲「ラズベリードリーム」。しかし、同じ頃生まれたメンバーにとって、その名前はピンとこなかった。)他所にライブで呼ばれた時にも名前が無かったので、なんとなく「Raspberry Dream」と名乗って活動をした。男ばかりのメンバーに可愛い感じの名前は少し恥ずかしくもあったが、深い意味はなく、戸惑いながらもバンド名はだんだんと定着していった。このメンバーでスタートしたお店での活動は約一年間で契約終了。メンバーもそれぞれ活動。4年間はがっつり、「Raspberry Dream」として活動していたわけではなく、「ライブがしたくなったら集まって、打ち上ったら、また個々の活動に戻る」を繰り返していた。Ryojiは「バンドしたい!」と思っていたが、「オリジナルやろうよ!」と皆に投げかけても、なかなか進まなかった。動かしたい気持ちが強くなり、自分で最初に5曲全部作り、持って行ったのがきっかけでオリジナルバンドのスタート。「言葉にできない気持ちを僕らは歌う」を合い言葉に、やりだしたら、評価ももらえる時もあり、またお店の時のレパートリーもかなりあったので、カバーもやれてオリジナルもあるから、どっちもいける強みがあった。
5人の関係
それぞれ音楽講師やプレーヤーの経験を経てのバンド活動。今年で一緒にやり始めて13年。相当やりやすい仲間。今も週二回スタジオに入るが、それも楽しみで行っているところがある。例えば曲作りやライブの準備など、やらないといけないことも楽しんでいる。この5人だからこそ楽しんでやれるのだと思う。しかし、Live Barで一緒にやり出した時から切磋琢磨していた。誰が引っ張られても良いように、「自分達も引けを取らないように頑張ろう」その気持ちは今も継続している。2014年にハードロックカフェ主催『ハードロックライジングコンテスト』(世界規模の大会)九州大会でオリジナル曲で勝負して優勝。翌年も連続で優勝した。「俺らでもやれるやん!!」お客様やファンの方から「良かった!」と言われるのも嬉しいが、認めてもらう結果を残せたのはまた違う喜び。5人それぞれのキャラクターが絶妙なバランスで支え合っているし、この5人が繋がっていたい気持ちが強い。でも音楽だけで繋がっているわけではない。いつもお酒を飲みに行ったり、食事にも行ったり。それを一生楽しんで行きたい。対バン相手から「楽しそう!羨ましい!喧嘩せんの?」とよく言われる。「するよ!」喧嘩も越えて、楽しそうに演奏していたり、目の合う回数とか、ライブならではのやり取りがお客様他にも伝わり、Raspberry Dreamのライブは「楽しそう」と多くの人に思ってもらっている。そこが5人の強みだと思う。
他の主な活動
2006年結成。1st Album「STORY」の中の 「YOU」は『鹿児島繋がるキャンペーン』の「STORY」がライブハウスSpiral FactoryのCMソングに抜擢。2014年FukuokaMusicFactory決勝進出。3rd Album「Present」の収録曲「カトレア」がトヨタカローラ福岡の新型カローラフィールダーのCM曲に選出され、また同曲はトヨタカローラ福岡、FM福岡主催のオムニバスアルバム 「Fukuoka Key10 Music」に収録。
今後の目標
2018-9年は5枚目のCD「DAY」の制作及びツアー期間。(発売日:2018年8月24日) レコ発のライブツアーは県外は東京、大阪に加え、メンバー出身地の鹿児島、大分、山口、福岡で開催予定。2017年は福岡市民会館でワンマンライブを開催。これは今までの中ではかなり大きい目標だった。達成感もあったが、プレッシャーや準備の大変さを乗り越えた経験から、少しは強くなれた気もするし、やれない事はないなと思えるようになった。次回は会場を満杯にしたいというのが次の目標。今後もCDを作るとか、曲を作るとかライブをするのはもちろん、2~3000人規模の客席を満杯にするワンマンライブをやれるようになりたい。いつかはメジャーなアーティストがやっているような大きな箱を満杯に出来たらと思う。「出来そうにないことをしていきたい!」という気持ちしかない。ずっと満足はしないのかもしれない。そして、Raspberry Dreamは終わることは無い。一生続いていくと思う。
終わりに
当初から1人も欠けず、良い意味で音楽の中で真剣に遊んでいる子供心みたいなものが演奏の心地よさや楽しさを作り出している気がする。「一生Raspberry Dreamは続く」 息の合った楽しい演奏を初めてのお客様にも味わっていただきたい。
文:MARI OKUSU 2018.8.24掲載
- 演奏動画 Raspberry Dream 5th Album『DAY』2018.8.24発売!!
https://youtu.be/-1viiLKZlOM - ラズベリードリーム 公式ホ―ムページ