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第33回

ひとSTORY

中西久美さん(フルート奏者)

中西久美さん(フルート奏者) 中西久美さん(フルート奏者)

小さい頃の夢を実現したフルート奏者であり、地元福岡ではフリーアナウンサーとしても知られる。また国民的美魔女コンテストのファイナリストに選出されるなど、多方面で引っ張りだこ。今回は多才なマルチプレイヤー、中西久美さんへインタビュー。

生い立ち

福岡市生まれ。5歳からピアノを始める。私立海星小学校入学。4年生の時、吹奏楽部入部をきっかけにフルートと出会った。成績の良い兄と姉に比べられ、勉強で褒められる事は多くなかったが、フルートの演奏で周りから褒められるのが嬉しく、「将来はフルート奏者!」とすぐに決めた。それから音大出身の疋田美沙子先生の個人レッスンに通い始め、先生と一緒に東京藝大附属高校受験を計画。家から離れた私立の学校では通学時間がもったいないと、近くの福岡市立長丘中学校へ入学。同級生には新庄剛志さんもいた。クラブ活動は運動禁止令が出ていたのもあり、放送部に所属。

東京生活

東京藝術大学附属音楽高校入学。最初の二年間は下宿生活。大学受験前に1人暮らしも始めた。第43回全日本学生音楽コンクール東京大会第三位受賞。その後、東京藝術大学(音楽学部器楽科フルート専攻)入学。大学時代はディスコに通ったり、自宅が友達の溜まり場になったり、楽しい思い出がたくさん詰まっている。大学三年になると、卒業後の進路が気になり始める。先輩達の進路は8割強はフリーの芸術活動をしているという事実を知り、「経済的に自立する為に、どこかに所属した定収入生活」を望むようになる。

就職

ある日居酒屋で、たまたま隣の席の方から話しかけられた。高校時代、全国から上京してきた同級生の影響で、博多弁をベースに色んな方言が混じった言葉を喋っていると、「その言葉は何?」と指摘された。その方はあるアナウンサー養成学校の学長だったのだ。言葉について色々話を聞いていたら興味が沸き、「中学の時、放送部だったんですよ!」と伝えてみると、「ウチの学校へ来てみる?」となり、何回か学校へ通う事になる。ちょうどアナウンサー試験の時期で、「受けてみたら?」と勧められるままに、キー局を受験。応募者が何千人も殺到した日本テレビの最終試験に進む15人に選ばれる。残念ながら、そこから絞られた中に名前はなかったが、合格者の中には羽鳥慎一さんがいた。その後、地元福岡の放送局を受験。RKB毎日放送のアナウンサーとして合格。忙しい局アナ生活を送っている最中、恋に落ち、二年後退職。

復帰

慣れない主婦業と子育ても加わり、音楽どころではなかったが、子供が幼稚園と小学校に上がったのを機に、フルートを教え始める。演奏の仕事も誘われ、久々の演奏は楽しくてたまらなかった。とは言え、ブランク約10年。自分の納得のいく演奏が出来るまですごく苦労をする事となる。とにかく練習あるのみ!若い子に交じり、コンクールにチャレンジ。2004年第10回宮日音楽コンクールのフルート部門優秀賞受賞。基本はクラシック。譜面さえあればポップスなども演奏は出来た。また、古巣のRKB毎日放送から情報番組のキャスターのオファーも届く。フルート奏者とフリーアナウンサーの活動をほぼ同時に再スタート。

ジャズとの出会い

2006年アクロス福岡のイベント「JAZZ at ACROS」で司会者の立場だったが、ジャズの世界と初めて出会う。クラシックとは異なる、音符のないコードの譜面やリハーサルで曲調もノリでどんどん変わっていく様子を見て、驚きと共に新鮮で楽しさを感じた。イベントのプロデュースは福岡在住のジャズピアニスト内田浩誠さん。ジャズをやりたい気持ちが高まり、内田さんにレッスンを懇願。ジャズの修行が始まる。譜面の無いアドリブの世界に触れ、楽しさはどんどん増していった。ジャズの世界を見る事で、意外にもクラシックがより好きになった気がする。

TEAM美魔女とファーストアルバム

フリーアナウンサーの仕事の延長で、月刊誌「美ST」(光文社)の福岡紹介のコーナーに出る事があった。背中を押される形で2011年「第2回国民的美魔女コンテスト」(光文社主催)応募。ファイナリストになり、TEAM美魔女に名を連ねる。2012年TEAM美魔女の中から歌のオーディションがあり、全国各地から合格した7人組で「Foever Girl」(ポニーキャニオン)でCD発売。キャッチフレーズは「史上最高齢平均年齢41歳のアイドルグループ」。また個人名義でフルート奏者として2014年ファーストアルバム「ALL OF ME 」リリース。様々なジャンルが楽しめるCDは好評発売中。

これから

フルート奏者で、フリーアナウンサーで、TEAM美魔女のメンバー。「本職は何ですか?」と問われる事は多いが、本当に全部好き。「クラシック奏者?ジャズ奏者?」これもどちらも好き!一番勉強して自分で理解出来ているのはクラシックなので、クラシックはすごく大切にしながら、色んなジャンルの方々と共演もしたい。今、オールディーズバンドにも入って、サックス奏者としても活動している。ツイストを踊りながらの演奏もある。今、何でも楽しい。アニソン(アニメソング)も大好き。同じくアニソン好きな仲間とコスプレしてアニソンライブを開催する事もある。この時は歌も披露。当然フルートが一番大事だが、サックスをもっと極めてフルートと二刀流でやっていきたい。最近、娘が高校の吹奏楽でフルートを始めたのが嬉しい。いつか親子共演出来たら、それも楽しいかも。とりあえずやりたい事は全部やっているが、目指すは居酒屋音楽家。何でもやりたい。ジャンルはもちろん、楽器ももっと増やせたらと思い描いている。トランペットもチャレンジしてみたい。聴いてくださる方々が楽しんでもらう事が何よりも喜び。自分も心の底から楽しんでいるのが皆さんに伝わったら嬉しい。

終わりに

たくさんの顔をお持ちの久美さん。話している途中で「どこの時点に戻ってもまた同じ道を進むと思う。何一つ悔いは無い。」と仰った。「自分でもこれからまたどんな事が起こるのか楽しみ!」とも。明るく気さくな美魔女に加え、インタビュー後の印象は「一生懸命」「好奇心旺盛」「楽しむ才能に長けている」「やりたい事は全てやる」エネルギッシュな久美さんの未来は想像を超える楽しい何かになりそうだ。

文:MARI OKUSU 2018.2.20 掲載